年齢と共にハリネズミは“腫瘍”ができやすくなります。ハリネズミの腫瘍には様々な症状があり、腫瘍の出来る箇所にも個体差があります。2022年2月、我が家のハリネズミのモネちゃん(3歳6ヶ月)にも腫瘍が発見されました。年齢的にも体力のあるうちに対処してあげたいという点から腫瘍摘出手術を行うことになりました。今回はハリネズミの腫瘍について詳しくお伝えします!
※実際の手術写真や摘出腫瘍の画像もあるので苦手な方はご注意ください。
この記事でわかること

ハリネズミの腫瘍とは?
ハリネズミの腫瘍はハリネズミに多く、体の細胞が異常繁殖すると起こる病気です。腫瘍の原因として遺伝が考えられますが、ハリネズミの場合は高齢なると起こりやすと言われています。発症年齢は平均3.5歳という報告もあります。腫瘍は手術で摘出をしない限り、なくなることはありません。
ハリネズミの腫瘍はどんな病気?
ハリネズミの腫瘍は身体のしこりや腫れで気付くケースが多いです。腫瘍の箇所によって症状も様々で、食欲低下・元気がない・下痢・水腹などの症状があげられています。ハリネズミが特に多いのは口腔内の腫瘍(扁平上皮癌)と子宮がんです。他にも乳腺腫瘍や皮膚や消化器のリンパ腫などもあります。
腫瘍の種類
腫瘍には『良性腫瘍』と『悪性腫瘍』の2種類があります。
良性腫瘍…ゆっくり増殖し、健康な組織との境目がはっきりしていて、転移しないものを言います。
悪性腫瘍…早く増殖し、健康な組織に入り込んでいて境目がわからず、転移するものを言います。この悪性腫瘍は『がん』と呼ばれます。
悪性腫瘍の場合
悪性腫瘍は腫瘍の大きくなるスピードがとても速いです。腫瘍の箇所にもよりますが、早めの対処が必要となります。医師に相談し、腫瘍摘出や薬での治療を速やかに始めましょう。

腫瘍のできる箇所
ハリネズミの腫瘍は全身どこにでも発生する可能性があります。体表近くであれば触手で確認することが出来ますが、体内の場合は難しいので定期的に健康診断をすることがおすすめです。
ハリネズミの腫瘍摘出手術について
ハリネズミの腫瘍は大きくなる可能性はありますが、小さくなることはありません。摘出可能な箇所であれば摘出、難しい箇所であれば薬で進行を遅くする必要があります。
腫瘍摘出手術当日の流れ
手術前日までは今まで通りに過ごしてOK!病院によりますが午前中に預けて、お昼ごろ手術をし麻酔から覚めた時点で連絡を頂きお迎えに行きました。預ける際には担当獣医と当日の流れをしっかり確認し、万が一心肺停止になった時の蘇生承諾と麻酔におけるリスクの承諾をします。
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1検査
レントゲンやエコーで腫瘍を調べます。
この検査で異常がなければ経過観察になる予定でした。
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2麻酔
手術の際は全身麻酔と局部麻酔をします。
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3腫瘍摘出手術
開腹し、腫瘍を切除します。
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4縫合
1.5㎝程の傷に対して5針程縫合しました。
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5麻酔から覚ます
目が覚めたことを確認し、異常がないか確認してもらいます。
手術終了時にも病院から連絡を頂き、一安心しました。

手術の前後で気を付けること
①しっかり栄養を付ける
手術には体力が必要になります。また、手術後は傷を治す自然治癒力を高めるためにも栄養バランスの取れた食事を与えます。
②与えられた薬を飲ませる
手術後には止血剤や抗生物質、痛み止めなどのお薬が処方されます。お薬を飲んでもらうためにも与え方には工夫が必要です。我が家ではフードに混ぜる作戦は失敗したので、ヤギミルクやエゾシカ肉などの嗜好品に混ぜて与えていました。
③ゲージ内環境の変化
(箇所にもよりますが)手術後は衛生面を考えて砂場やホイールは控えた方が良いです。突然砂場やホイールがなくなるとストレスになるハリネズミもいるので、手術前から少しずつ環境に慣れさせることが重要です。我が家は1週間前に砂場の撤去をしました。
腫瘍摘出手術の費用と回復までの期間
今回の手術に掛かった費用は¥69,685-でした!(手術当日+抜糸通院を含む)
内訳
全身麻酔 ・・・¥6,000-×2
局部麻酔 ・・・¥2,000-
皮下腫瘍切除・・・¥25,000-
病理検査 ・・・¥11,600-
皮下点滴 ・・・¥1,800-×2
薬投与 ・・・¥1,900-
処方箋 ・・・¥1,750-
抜糸 ・・・¥1,000-
レントゲン ・・・¥3,000-
超音波(一部) ・・・¥1,500-
合計 ¥63,350-(税抜き)
※ペット保険未加入のため100%実費
手術後、抜糸までに10日程掛かりました。普段の生活に戻るまでには術後15日程度でした。※手術箇所や腫瘍の大きさによって個体差があります
実際にハリネズミの腫瘍摘出手術をした話
腫瘍発見に至るまでの経緯
冬はゲージから出すと寒いので身体を冷やさないように触れ合う時間を減らしていたこともあり、正直なところ飼い主も気が付きませんでした…。たまたま、モネちゃんの健康診断の際に兄妹が腫瘍摘出したことを病院で伝えたところ、同じところから腫瘍が発見されました。発見した時点で、手術の予約を取ったものの…最短でも2週間後でした。

摘出した腫瘍を病理検査に出した結果
結論から言うと、悪性腫瘍でした…。
良性腫瘍の場合は繊維との境目がはっきりしている為、腫瘍もつるっと取れるそうです。悪性腫瘍の場合は繊維が入り込んでいる為、癒着してうまく取れなかったり、腫瘍の形が変形しているケースもあるそうです。今回、摘出した腫瘍は見た目は良性っぽく、他の部分に癒着している様子もなかったようですが調べてみないとわからないのが現状です。
乳腺がん
モネちゃんから摘出した腫瘍は乳腺がんと病理検査の診断を受けました。腫瘍細胞のうち腺上皮由来細胞の異型成は中程度、筋上皮由来細胞には明らかな異型性ありませんでした。
今後、がんの転移は右側の可能性が高いのでこまめなふれあいと定期健診で腫瘍の早期発見を心掛けます。
腫瘍摘出後のモネちゃんの様子
手術後は縫合した傷口が気になってしまい、自咬(じこう)行為をしてしまいました。大好きな砂場とホイールも撤去されてしまい、かなりストレスが溜まってしまったようです。先生に相談をして急遽、ホイールだけは戻すことにしました。幸いにも2日後には自咬も収まり、傷口も悪化することなく抜糸まで頑張ってくれました。
その後も元気いっぱいで、以前よりもホイールすることが増えました!ハリネズミも走ってストレスを発散させるのかもしれません。
ハリネズミの自咬
ハリネズミはストレスを感じると自ら身体を噛んで傷付けてしまうことがあります。自咬をした場合、まずはハリネズミのストレスを取り除いてあげることが重要です。モネちゃんの場合は手術でのストレスとゲージ内の環境変化が明確にわかっていた為、ホイールを元に戻して対応しました。手術後は好きなごはんを与え、なるべく気を紛らわせるようにしていました。
ハリネズミの腫瘍まとめ
ハリネズミの腫瘍
・ハリネズミの腫瘍は高齢ハリネズミに多い病気
・摘出手術をしない限り腫瘍はなくならない
・腫瘍には良性と悪性の2種類ある
悪性腫瘍=がん
・気になったらまずは病院へ
今回はハリネズミの腫瘍についてお伝えしました。我が家のハリネズミではモネちゃんが初めての手術だったため、病院にから連絡が来るまでは飼い主も生きた気がしませんでした。しかし、摘出した腫瘍を見たらほっと一安心しました。今、腫瘍で困っているハリちゃんや飼い主さんのお役に立てれば幸いです。
