ハリネズミの神経系の病気である“ふらつき症候群”って聞いたことはありますか?もし、愛するハリネズミがふらつき症候群だと診断されたら出来る限りの手を尽くしてあげたいですよね。実際に我が家のココさんもふらつき症候群になり、10ヶ月間の闘病生活をしていました。そこで、今回はふらつき症候群について詳しくお伝えしたいと思います。
この記事でわかること
・ふらつき症候群ってどんな病気?
・ふらつき症候群になってからの生活
・強制給餌の方法
ふらつき症候群ってどんな病気?
ふらつき症候群とは?
ふらつき症候群とは別名Wobbly Hedgehog Syndrome(WHS)と言い、足の麻痺から始まり、筋肉が衰え徐々に動けなくなる病気です。 ハリネズミには発症ケースが多い神経系の病気ですが、未だ原因は不明とされています。人間で言うと筋萎縮性側索硬化症(ALS)に近いかもしれません。ふらつき症候群の症状の進行スピードには個体差があり、症状が始まってから9ヶ月以内に身体が動けなくなり、多くの場合は18ヶ月~25ヶ月で亡くなると言われています。
ふらつき症候群の進行が進むと寝たきりになり、自らごはんを食べれなくなるため強制給餌(栄養を摂るために流動食を飼い主さんが直接与えること)が必要になってきます。
初期症状はどんな感じ?
病名のようにふらついたり、つまずくことから症状が始まります。我が家の場合はホイールで走ってる際に“走り方がおかしい”と左足に違和感を感じたのがきっかけです。担当獣医の話によると、多くのハリネズミは左右どちらかの足から症状が出ることが多いそうです。
ふらつき症候群は治るの?
ふらつき症候群には治療法がなく、残念ながら治らない病気です。実際に通っていた病院では症状の進行具合やレントゲンで骨の異常を確認するぐらいしかできませんでした。ハリネズミの医学は未だ不明なことが多く、治せる病気が少ないのが現状です。
大抵のハリネズミは症状からふらつき症候群の診断を受けますが、実際は亡くなった後に解剖しないとわからないそうです。病気のことを知り、ふらつき症候群と上手に付き合うことが重要になります。
ふらつき症候群の診断を受けたら始めること
個体差はありますが、ふらつき症候群になったからと言ってハリネズミはすぐに動けなくなるわけではありません。少しずつできなくなることが増えていくので、できなくなったことへのサポートを考えるようにしましょう。
ポイント
・身体のストレッチ
・生活環境のバリアフリー化
・食事の見直し
身体のストレッチ
手足が少しでも動くように、手足のストレッチをしてました。ふらつき症候群のになると筋力の低下により上手に丸まれなくなるため、筋力トレーニングとして丸まる練習もできる限り行っていました。
段差への配慮
ふらつき症候群になって初めにできなくなることが、ホイールや階段など段差の上り下りです。我が家の場合、ヘルニアの疑いもあり先生のアドバイスのもと1週間ホイールのない生活を送ることになりました。1週間後ホイールを戻しても筋力が落ち、自らホイールに登ることができなくなりました。動けるうちは段差を配慮しながら、通常通りの生活でストレスを与えないことがおすすめです。
ルルちゃんも3歳4ヶ月頃にふらつき症候群の症状が出始め、高さのあるホイールに登ることを諦めることが増えました。そこで、飼い主の醬油皿を踏み台に代用したところ上手に登れるようになり、ホイールでまた遊ぶようになりました。ふらつき症候群は徐々に筋力が低下していくので、“できなくなったことを補う”ことがとても重要です。
ホイールの対処方法
三晃のメタルサイレントの場合はホイールを横向きに置くことができます。
横向きで置くとホイールの高さは2.5㎝となり、縦置きと比べ2㎝程低くなります。ふらつき症候群のハリネズミにとって2㎝の差は大きいものです。一度、試してみる価値はあるかと思います。
バリアフリー化
症状が進行し、日常生活に支障が出始めたらハリネズミの飼育環境を見直しましょう。ホイールは完全に登らなくなったら撤去し、ゲージ内をバリアフリーにします。ふらつき症候群の症状によっては手足が擦れてケガの原因にもなるので床材は柔らかい素材を選ぶようにしましょう。
生活環境のポイント
・ゲージ内の段差をなくす
・体に負担の少ない床材選び
・ごはん用のお皿は高さのないものへ
柔らかい床材
我が家のココさんの場合は左手足の麻痺から始まりましたが、横這いになりながらも上手に移動が出来ていました。しかし、横這いに移動するため、ペットシートで手足が擦れてしまうようになりました。そこで、身体の負担を少しでも減らすために柔らかいボア生地をペットシートの上に敷き、床材の変更をしました。
手足の擦れ対策
手足が擦れることが増えてしまったため、テーピングで保護して対策をしていました。テーピングは人間用の物で、4㎝ぐらいの長さに小さくカットすると丁度よかったです!
ごはん皿バリアフリー
お皿の高さもハリネズミの手足の長さや食べる姿勢によってベストな高さがあります。ふらつき症候群になったハリネズミはどちらかに傾いて食事を取る子もいるので、なるべく負担にならないお皿を選んであげましょう。
食事の見直し
ふらつき症候群の症状が進むにつれて、体のバランスが取りにくくなり自らごはんを食べられなくなります。十分な栄養を摂ることができなくなり、ハリネズミも痩せてしまいます。そんな時は飼い主さんによる強制給仕(きょうせいきゅうじ)が必要になります。
ごはんの与え方
ハリネズミによってはカリカリフードが好きな子もいればふやかしフードが好きな子もいます。年齢とともに噛む力も弱くなっていくので、年齢やふらつき症候群の症状によってふやかしフードにシフトチェンジしていきましょう。
与えるフード
ふらつき症候群になってからハリネズミの体重維持はとても重要です。食い付きの良いフードを選び、できる限り体重を減らさないためにも高タンパク高脂質のフードを与えるようにしましょう。
シリンジで給水の練習
強制給餌をする日がいつ来ても良いようにシリンジに慣れさせておくことをおすすめします。いざという時に嫌がって受け入れてくれないと困るので、我が家は早いうちからスキンシップの一環としてお水をあげていました。
強制給餌の方法
ふらつき症候群の症状が進行すると自力でごはんが食べられなくなる場合があります。その場合は飼い主さんが毎日、強制給餌することが必要になってきます。
強制給餌の仕方
ハリネズミの強制給餌に使用するシリンジは10㎜がお勧めです。
強制給餌の流れ
- ハリネズミのポジションを安定させる
- お口を開けたタイミングで少しずつ与える
- 咀嚼し、飲み飲んだことを必ず確認する
1日2回10㎜程度を朝と夜に分けて与えていました。
※個体差があるので量に関しては調節してください
注意ポイント
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強制給餌のおすすめフード
こちらはふらつき症候群の経験があるハリ友さんに教えていただきました。食が細くなってしまった時には栄養価の高いフードを与えるようにしましょう。また、シリンジで与えるには固いと出にくいため、フードの粘性も重要です。
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ふらつき症候群まとめ
ふらつき症候群のポイント
・ふらつき症候群は徐々に身体が動けなくなる病気
・治療方法はなく、未だ不明な点が多い病気
・飼い主さんのサポートが必要不可欠
ふらつき症候群は症状の様子を見ながら、上手に付き合える病気でもあります。1日でも長く、穏やかな毎日を過ごせる参考になれば幸いです。